身体機能と視力を大きく失った作家とAIの対話によって新作小説を描く
現“在”美術家/DOMMUNE主催・宇川直宏氏およびDOMMUNEが主催するプロジェクト「AI中原昌也 「声帯で小説を描く!』 Presented by 宇川 直宏 & DOMMUNE」に、Konelが開発パートナーとして参画。作家・中原昌也のデジタルツインとなるAIを構築し、テクノロジーによる身体性の拡張と新たな創作の可能性を提示する。
※助成:アーツカウンシル|2025年度 ライフウィズアート助成、DIG SHIBUYA 2026 オフィシャルプログラム
Issue
生成AI技術を用いた、作家の創造性の解放とは
3年前、三島由紀夫賞作家でありミュージシャンの中原昌也は、糖尿病の合併症による脳梗塞で倒れ、左半身麻痺と視力の大半を失うという重度の障害を負った。
一方、同じ時期に生成AIは劇的な進化を遂げた。作家が書く力を失ったタイミングと、AIが言葉を紡ぐ力を得たタイミングが重なる符合に、35年来の友人である現"在"美術家・宇川直宏は時代の伏流を見た。 小説を書くことや楽器の演奏が困難になった中原氏に対し、生成AI技術を用いて作家の創造性を解放し、表現のステージへ再びフックアップすることを目的として本プロジェクトが始動した。

Creation
デジタルツイン「声帯AI中原昌也」
生成AIと共生する時代の“もう一つの身体性”を発見する試みとして、中原氏のデジタルツインとなる「声帯AI中原昌也」を開発。「生身の中原昌也」が自らのデジタルツインである「声帯AI 中原昌也」と音声で対話を重ね、文字を「書く」のではなく物語を「描く」という、マルチモーダルな創作手法を実現した。 また、テクノロジーとアートのイベント「DIG SHIBUYA 2026」において、来場者が「声帯AI 中原昌也」システムを用いて共に対話形式で小説を描く体験ができるインスタレーションを展示実装した。




Technology
技術による作家性の再構築
中原氏の小説、自伝、膨大な批評やインタビューをソースとしたナレッジベースを構築。さらに収録した中原氏本人の声帯をクローニングすることで、デジタルツインとしての「声帯AI」を生み出した。
本システムでは複数のエージェントが自律的に必要なツールや知識を選別し、作家の執筆を拡張する。対話エージェントは中原氏本人の声で対話を重ね、作家が書きたい小説のインサイトを引き出す。執筆エージェントは過去の作品と本人の傾向をもとに小説のプランニング・執筆を行う。
「DIG SHIBUYA 2026」における展示では、このAIとの対話から生成された小説をプロンプト化し、さらに別の生成AI「AI 宇川直宏」と共にアニメーション化するワークフローも構築した。


Future
新作長編小説の制作・プロセスを記録した劇場映画の公開
中原氏本人と「声帯AI 中原昌也」の共作による新作長編小説を執筆し、文芸誌への掲載を目指す。
また、本プロジェクトのプロセスの一部始終は記録されており、将来的には劇場映画作品としての公開を予定している。