時空を超えて届く手紙
Issue
若い世代に “手紙が届く喜び” をどう渡すか
SNS やメッセージアプリが主流になった今、「紙の手紙を送り合う文化」は希薄になりつつある。しかし自分宛ての手紙がポストに入っている嬉しさは紙でしか味わえないもの。そこで私たちは “未来の自分から届く” というワクワク感を入り口に、手紙というアナログメディアへ自然と手を伸ばしてもらう設計を試みた。
Creation
手紙が時空を旅して届く
「夢を叶え、20 年後の世界を旅しているあなた」から手紙が届く——そんなワクワクする物語を起点に、体験全体をデザインし実装した。
来局者が筐体で名前・年齢・将来の夢・写真を入力すると、AI が未来の旅先で撮影された“あなた自身”のポートレートと、夢を実現した未来のあなたから今の自分を励ますメッセージを同時に生成し、専用にデザインしたポストカードへレイアウト。未来から手紙が投函され、時空を超えて届く映像を眺める約30秒のあいだに印刷が完了し、その場ですぐに手紙と封筒を受け取れる。
さらに、未来へとつながるワームホールの入口を思わせる筐体も制作。手紙が未来から届くその瞬間の高揚感を最大化した。システム・筐体・演出・手紙のすべてに、未来から届くワクワクする世界観を落とし込んだ。




Technology
多様性に配慮した設計
「新しい技術とかけ合わせることで、若い世代に手紙文化に触れてほしい」という郵便局の想いと、大阪・関西万博という国際的なイベントである要件から、幅広い世代・国籍・車椅子利用者までを視野に入れた設計を実施。直感的なUIはもちろん、成長時の年代から手紙の口調や見た目の成長度に合わせたプロンプト分岐、身長の違いに自動で角度を調整するカメラ、誰でも扱いやすいユニバーサルサイズの筐体など細部まで配慮を行った。またセキュリティ面を重視し、テキスト生成を除くすべてをオフライン環境で実装。誰もが安心して楽しめる体験を実現している。

Future
感動から文化を伝える橋渡しとしての生成AI体験
便利さや効率が注目されやすい生成AIを、感動により文化をつなぐテクノロジーとしても活用する。このアプローチは、郵便や手紙にとどまらないと考えている。
カレンダーを一枚めくる指先のわくわく、商店街に流れる閉店チャイム、地域の祭りなど、暮らしのなかに息づく“残したい文化”の価値を再発見する手段にもなる。
生成 AI技術がもたらす感動が、世代や国境を越えて文化を手渡す技術としても広がる世界を目指す。

Project Information
Project Owner
Japan Post
Team
Planner | Mikihisa Tanaka(おもしろ郵便倶楽部) |
Technical Director | Norikazu Teraguchi(Konel) |
AD/D | Shotaro Adachi(Konel) |
Motion Director | Shuji Hirai(apelo inc) |
Back-end Engineer | Shinpei Kamiya(METEORWORKS) |
Front-end Engineer | |
Prompt Engineer | Kyosuke Saito |
Product Designer | |
Technical Adviser | |
Technical Design Adviser | Masahiro Kubota(Hii-shi) |
Case Development | SABUROKU COMPANY |
Project Designer | |
Creative Agency | Konel |
Agancy | DENTSU LIVE |
Project Orner | Japan Post |