水をあげると電気を生む、植物発電生物
リニア中央新幹線の開業を見据え、まちの再編が進む神奈川県相模原市・橋本。市は「リニアでつながる 一歩先の未来を叶えるまち橋本」を掲げ、駅とまちを一体で整備していく構想を打ち出している。
そんな未来を見据えるなかで始動したのが、京王電鉄、グリーンディスプレイ、Konelによる共同プロジェクト「Botac(ボタック)」。植物発電を活用し、駅を“市民が関わることで変化する環境”として捉え直す試み。
橋本を〈未来の実験場〉へと変えていく、象徴的なプロジェクトである。
Issue
未来の実験都市・橋本へ
2037年開業予定のリニア中央新幹線を契機に再開発が進む橋本駅は、単なる交通結節点ではなく、“通過点”から“目的地”へと進化することが求められている。利便性の向上にとどまらず、人が集い、挑戦し、新たな価値が生まれる実験的な都市文化を育て、「橋本で何かが起きている」と感じられるまちへと転換していくことが、本プロジェクトの出発点である。
Creation
植物発電生物「BOTAC」とは?
Botac(ボタック)は、市民の水やりを電力に変える植物発電の実験装置。中央に設置されたボタンを通行者が押すと、植物に小さな雨が降り、土壌中の微生物が活性化し、微弱な電気が生まれる。植物発電は、効率の高いエネルギーを生み出す技術というよりも、植物や微生物の生命活動を通じて環境の変化を伝える“やさしいテクノロジー”としての側面を持つBotacはその特性を活かし、自然の営みを都市の中で感じ取れるインターフェースとして設計された。
水やり回数、微生物の活性度、そこから生まれる発電量の関係は、ディスプレイ上の「デジタル生物」として可視化される。数値ではなくキャラクターの成長や表情の変化として表現することで、駅を行き交う人々が直感的に植物の状態を理解し、自然にいつも気にかけられる存在を目指した。駅に飼われている”デジタルペット”のように、人々の関わりによって環境が変化する感覚を共有する体験設計である。
「Botac」は植物の状態をやさしく可視化するテクノロジーとして、自然と都市、人と環境の新しい関係性を育てていく役割を果たす。





Technology
土壌環境・水分量・発電量の遠隔センシング
植物発電とは、植物そのものではなく、根の周囲にいる微生物の働きによって電気を生み出す技術である。植物が光合成で生み出した有機物を微生物が分解する過程で電子が発生し、それを回収することで発電します。土・水・微生物という自然の営みそのものがエネルギーに変わる。
今回のプロダクトでは、その発電電力を用いて土壌環境や水分量をセンシングしている。発電量や土壌の状態はセンサーで取得され、遠隔管理が可能。これまで人が管理していた水やりを、駅を訪れる街の人々が担う仕組みに転換し、ボタンを押して水をあげるというシンプルな行為が、植物の生育と発電を支えている。


Future
まちの未来を共につくる仲間の拡張
Botacは、植物と市民が関わりながら、まちが変化して拡張していくオープンイノベーション型プロジェクトである。駅という公共空間を実証フィールドとし、発電量や遠隔センシングの精度を検証しながら、技術を都市運用へどう組み込めるかを探求。
同時に、植物の状態を可視化することで生まれる心理的変化や参加意欲にも着目し、テクノロジーと市民参加が自然に共存する新しい都市のあり方を模索する。
実証フィールドの提供、展示機会の創出、プロジェクトへの寄付・参画など、それぞれの専門性を持つパートナーとの幅広い協働を歓迎。環境と人が関わり続ける未来の都市像を、ともに創造していく。
